Hearthstoneをマジックプレイヤーが考える

前回の記事で紹介したように,Hearthstoneを楽しんでいるわけですが
現役のTCGプレイヤーだとどうしてもそれと較べて,特徴から勝ち方や魅力の源などを考えてしまうわけです。

Hearthstoneのエフェクトに習え

Hearthstoneをしばらくプレイしてみて気づいたのが,minionを出すときなどのSEと触って楽しめる戦場といった遊び心があることですね。何回かのパッチによってあのキャラクターSEが追加されたんですね。
マジックに足りないのは,そこかなという気がします。マジックというより,DotP(Duels of the Planeswalkars) かな。

紙でマジックやっているのにDotPもやっている理由はいくつかあるんですが,エフェクトが見られるということがそのうちの一つです。《滅び》を唱えるのに成功したときのエフェクトはかっこいいですよね。《黒死病》能力を起動した時のエフェクトなんかも好きです。そういった魅力って,遊びの中に必要だと思うんですよ。

例えばアナログゲームの話になりますけど,商品をリリースするたびに毎回プレイ中のBGMの音源としてCDをつけてくる商品があったりするんです。プレイには関係ないのに。そういうのもコンポーネント評価のうちに入るんですよね。

そういった例を考えると,プレイアブル性ってそういった楽しさからも出せるんじゃないかなという気がしました。
DotPはシリーズを重ねるたびにそういった試みが重ねられていて,最新作のDotP2014では一部のカードがアニメーションして動く様子があり輝きに目を奪われた覚えがあります。
Hearthstoneはその一歩先をいっていて,ゴールドカードならコモンだろうがアニメーションしますし,minionを出したときと攻撃するとき,死ぬときに特徴的な音声が流れるわけです。
Leeeeeeeeeroooooooooooyyyy!!! Jenkins!!!!!
一部のLegendalyカードなんて登場の演出からすごいじゃないですか。そういった「ストーリーを感じさせるもの」って,以前からずっと言っている「説得力」につながると思うんですよ。DotP2015では,そういった部分に力をいれてもっと顧客を増やして欲しいですね。

ランダムの罠

Hearthstoneはランダム効果が大変に多いですね。これは誰がみてもそうです。そして,その能力がとても強い。博打みたいなものもある。後述しますが,Arenaも博打ですね。
このゲームは運要素が非常に強いです。カードゲームにおいて運要素を高めることのデメリットは皆さん察しがつくでしょうが,競技性の減少です。論理的に優れているゲームはアナログだろうとデジタルだろうと運の要素が少ない戦略的ゲームであります。こうしたデメリットがあるにも関わらずプレイ人口として人気はあるのが,運要素を高めた結果にメリットがあるからです。そのメリットとは,公平性です。
運要素が競技性の高いゲームを好むプレイヤーに嫌われている理由は,理詰めでは把握できない運要素が不確定性に収束しているからです。「負けてた場面でたまたま勝てた」も嬉しいのが心情ですが,これでは競技性は高くありませんね。こうしたランダム性を含めたカードを愛せるヴォーソスなプレイヤーや初心者には,このゲームはウケのいいものになっているはずです。スパイクは皆さん声を揃えて「運要素の弱体化」を望まれていますね。

Arenaは競技的か?

結論から言うと,ノーだと考えています。Arenaはマジックでいう競技レベル:一般です。プレリリースパーティーをやり続けているような感じです。
Arenaはランダムに選ばれたヒーローの選択肢から一人を選ぶのは面白くていいのですが,デッキを組む際の遊び方が競技的ではありません。
マジックのシールドとも,ドラフトとも違う感じです。デッキ全体の形を見据えながらカードを選択していくと考えると単に楽しいのですが,カードを取り合う相手がいるわけではないので「今ここでとらないと対戦相手にとられてしまう」という勝ち負けにつながるピックもありません。というか,カットピックがないですよね。
報酬もランダムというのがまた面白さではあるんですが,なんというかマッチングの画面と相まってスロット回してる気分になりますね……。


こうしたものも含めて乱暴にランダムだと考えると,Hearthstoneはアナログでないゲームだということを存分に活かしていると思っています。背景にWoWがあるというのがかなりでかいと思いますが,背景設定もフレーバーテキストのおかげで把握しやすいですしヴォーソス向けの良いゲームです。まだまだ楽しみます。

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