今から始めるDeadSpaceシリーズ

皆さんはDead Spaceというゲームを知っているだろうか。
Dead SpaceはEA(エレクトロニック・アーツ)のTVゲームで、PS3、XBOX360、Microsoft Windowsでのプレイが可能なサバイバル・ホラー要素の強いTPS(サードパーソンシューター)だ。
近々Dead Space3についての発表があると思うので、今のうちにこの大作をプレイして欲しく記事を書いた。

このゲームの説明として、まずは海外の有名ゲームレビューサイトの批評を引用しておこう。ちなみにこちらはDead Space2の批評である。
1UP A- /A+
シングルプレーとマルチプレーにおける最大の欠点が「他の素晴らしい箇所ほどの出来ではない」という程度の場合、それは極めて良く出来たゲームという事な のだ(PS3とXbox 360の両方を所有している場合、限定版にはDead Space: Extractionが無料で同梱され、2枚組の360版と違って1枚で済むPS3版に軍配が上がる)。だが、本作は「前作よりも優れている」と断言出来 るゲームではない。インターフェースへの手直しや改善されたIsaacの動きを除いて、全体的な構造を見た時、そこにあるのは「良いゲームと、それよりも 優れたゲーム」ではなく、優れたアクション要素を含む不気味なSFホラーと、不気味な恐怖要素を含んだ優れたSFシューターという、全く別のゲームなのだ。
 批評で触れられている通り、Dead Spaceは優れたアクション要素を含む不気味なSFホラーで、その続編のDead Space2は不気味な恐怖要素を多く含んだ優れたSFシューターという違いがある。
プレイしたことのない人には違いがはっきりしないと思うが、乱暴に言ってしまえばDead Spaceはホラー要素が強く、続編の2はシューター要素が強いのだ。どちらも主人公は共通なので、前作で慣れてしまった主人公よろしくプレイヤーのためにシューター要素を強くしたのかもしれない。

このゲームは予め断っておくことが多い。CESAレーティングによる日本での発禁対象であり、グロテスクな表現がゲームの性質上とても多いことだ。また音声は英語のみである。字幕もつくがこちらも英語のみ。ただ、英語が全くできなくとも非常に親切な目的地指示があるのでクリアは可能だ。こうした敷居がとても低いのはありがたい。

シリーズを通して主人公はIsaac Clarke(アイザック・クラーク)というエンジニアで、物語上何人かの人間と協力し合って脱出を目指す。
Dead Spaceシリーズは宇宙の無酸素無重力空間という設定を活かし、エア・ロックや無重力空間での作業が雰囲気を演出するのに活躍している。一作目では無重力ジャンプ、二作目では無重力地帯を自由に飛び回ることでその存在を確認できるものとしているところが良い。
ただゲームプレイの基本は、様々な姿をしたネクロモーフ(NM)という生命体とのバトルとなる。小さなヒル型のものから人間サイズ、果ては艦内の隔壁をぶち破ってアイザックを狙う大型のNMまでいる。すべてのNMに共通しているのは、数少ない生存者であるIsaacを執拗に狙うこと。怖くなって隣の部屋に逃げ込んだところで、ダクトを使って侵入されるのが関の山だ。
それらNMを撃退する術が、手に持った工具(エンジニアなので武器はない———例外はあるが)で四肢を切断してやることだ。ここが日本発禁である最大の理由であることは想像に難くない。
Slashers
 ここに一例を用意した(画像はDead Space 2 @ wiki より)。これらはどれもSlasherというネクロモーフで、ゲームで一番お目にかかるものだ。見た目から想像できる通り、人間の死体が変異してできたものである。
弱点は大きく露出した鎌を携えた両腕で、これらを切断して殺すことができる。
両脚を切断することで這いずらせることも可能で、こうしないとダクトを伝ってこちらを追ってくるのである。
また他のゲームにありがちな「頭部を撃って大ダメージ」であるが、ことNMに至って効くことは一部を除いてまるでない。むしろ視界がなくなってがむしゃらに攻撃しだすので、場合によってはとても危険である。

こうした異形の存在とバトルするのはとても不気味な緊張感にあふれる。
一部のゲームにありがちな「萎えポイント」として、「主人公が無防備なのにちまちまとプログラムされたダメージ値で攻撃してくる敵」というのがある。
Dead Spaceは全員が己の目的を遂行するのにとにかく必死だ。
NMが近寄ってきたり、不意打ちしてきたりすると特殊なモーションで即死攻撃をかけてくる。抵抗すればもちろん逃れられるので理不尽さは微塵もない。あるのは自身の不甲斐なさ、生きることへの執着の不足である。

こうして書いているとバトルばかりが目についてしまうが、Dead Spaceの良さは不気味さと恐怖感であって、息をつかせぬ勇猛さではないところが高い評価を得られたポイントだ。
このプレイ画面を見てほしい。
敵もいない、ただの通路である。しかし実際にプレイすると目の前にあるドアにいくだけでも恐怖感は拭えないだろう。
暗く閉塞感のある通路には血痕がこびりつき、聞こえてくるのはどこかで物が動いた金属音やファンの音だけ、敵がいる場合には分かりやすいBGMが流れるのでご安心を。
その部屋にはなにもなくとも、どこか別の部屋でバケツが落ちる音を聞くというのは、Dead Spaceでは珍しくない。生存者はほとんどいないはずなのにも関わらず、だ。
これまでの要素がDead Spaceを「本家よりもそれらしいBiohazardが帰ってきた」と言わせしめた所以であろう。
角を曲がったり、突き当たりのアイテムを取りにいったりするのがここまで恐ろしいBiohazard新作が、昨今あっただろうか。

先ほどのゲームプレイ画面を見て違和感があった人もいるだろうと思う。HUD(画面上の体力ゲージなど)はどこへいったのか、と。
もちろんoptionでいじって作ったイカしたプレイ画面ではない。万人がこの画面でプレイするのだ。今度は別のプレイ画面をご覧いただこう。
Dead Space 2のAdvanced Suitを着たIsaac
画面左、Isaccの背中にある背骨のような細長いのが体力ゲージで、少し見えにくいがその右にある半円上の青いメーターがstasisゲージ(物体の速度を緩めるエネルギー波を撃てる)、構えている武器の上にでる数字がカードリッジ内の残弾、そしてIsaacの見た目が今着ているSuitの種類となる。
これはとても革新的な見た目で、ゲーム内の世界に没入する役割に一役も二役もかっていることだろう。
Dead SpaceのIsaac。kinesisで放射性物質をつかんでいる場面
こちらはDead Spaceのプレイ画面で、このときから体力ゲージなどの見た目は完成していることが分かるだろう。stasisゲージの上に見える数字は、Suit内の残酸素から計算された無酸素空間での活動限界時間の表示だ。
MAPやステージの行く先々で手に入る各種Log、現在の目的などの表示があるメニュー画面もRIGと称されたシステムに組み込まれており、ゲームプレイ画面に浮かび上がって見られる仕様となっている。選択キーを追うIsaacの顔の向きはプレイヤーの視線と被り、そこも面白い。

ここからは個人的に好きだった要素を話そう。
一作目はチャプターごとにトラムに乗って駅を移動することになるのだが、その挙動ひとつひとつが様式美にあふれていて、とても良かったことを挙げたい。
駅にたどり着き、レトロな張り紙がたくさんされているトラムに乗り込みSaveを選択してトラムが発車する。エンジン音が非常に心地よい耳触りで、次のステージへの見取り図が拡大される。その後トラムが減速、停止する音が聞こえる。背にしていたドアが開き、Isaacが振り向いてチャプター開始。
この一連の流れがとても好きであった。


今回はDead SpaceとDead Space2の紹介になったが、他にiOS版とDead Space Extractionがある。
どちらも面白いことには変わりないが、本編ではないためここでは割愛させていただくこととする。
ホラーが苦手で、特に一作目はビビりながらちんたら進めていた私もクリアはできたので、是非この恐怖感や世界観に身を預けてみてほしい。
amazon.co.jpで安く買えるというのも、悪くないだろう。2はバージョン違いが多いので、wikiなどで詳細を確認することをおすすめする。
尚PC版は悲しいかなバグが多いので、どうしてもというのでなければコンシューマー機でのプレイを推奨したい。



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