2巻が発売された頃に知り、楽しみに読んでいたが、完結かーという感じだ。
ジャンルはSFラブ・バトル。読んだことないと何を言っているんだと思えること間違いなし。
ここから作品を通しての雑感を話していこうと思う。
こういった恋愛ものは普段読む機会がないのだが、『ウワガキ』を読み続けたのは、1つにヒロインが勝手に或は最初から主人公のことを好きでないということがあった。小秋は最終巻になる前から主人公が好きになっていたが、三角関係を面白くアレンジしたおかげで最後までただの三角関係ものでなく楽しめたのが飽きなかった理由だろう。
image:ウワガキ1巻
増量したキャラクターたちについては、賛否両論賛否両論あると思うが、私はあまりキャラクターを増やすべきではなかったかなと思った。つまり、もう少し狭い世界でもよかったのではということだ。特に気になったのが終盤に入る段階のイギリスの方々の存在だ。 無理矢理終わらせにかかったのかとも思える展開でも、最後の最後はしっかりと収まって良かった。そして、番外編の存在は他の作品にあるような、これからを感じさせるような展開ではなかったのも読後の手応えにつながったのであろう。番外編のキャラクター総出のお祭りは仕方ないものとして諦めて、番外編が必要である理由は伝わっているという点を評価したい。まだ分かりにくい伏線等を把握していないので、充実感はあまり得られていないのだが、それでも面白い作品だった。人物の心情として、最後は多重人格の統合のようでもあり、そこが作品冒頭と何かつながりがあるのが分かれば更に面白くなるかと。
image:ウワガキ2巻
ここからは、和也についての話をしていこう。和也の存在というのは、物語上とても重要でなくてはならない存在だ。千秋にとっては元々の彼氏であり、実験に参加するためのきっかけを与えてもらう存在となる。アジオにとっては、超えるべき存在であり千秋にアプローチするための足がかりを得るための先輩でもある。そんな和也が急激に物語の中心から去っていくわけだが、ここまで去り際のよく分からないキャラクターには納得できない。最終巻にもさりげなくでてきて情けない感じを出して退場する。
「必要あったか?」
というツッコミすらでてきておかしくない。もう少し佐和さんについても詳しく描写しても問題なかったのではないだろうか。個人的にはちょっと佐和さんを使って退場させるべき時を作ったのではないかという感じがしてしまった。佐和さんに関しては、あのキャラクターづくりからして情けないという感想を抱かずに済んだのが幸いであった。
image:ウワガキ3巻
そういったなんとなく気になってしまう展開というのはあるもので、しかしここに先生が来るとデウス・エクス・マキナによってどうでもよくなるものはある。先生の存在は終盤当たりから急に情報が付与されて変に現実を意識してしまった点が悪手であるものの、学校という枠組みの中でも物語の登場人物としても根幹を担っているので、無くてはならない存在である。問題なのは、これは強みでもあるのだが、先生が荒唐無稽な存在であるが故に、困ったらとりあえず魔法でも使わせておけという点である。SFなのでそういった要素があるのは仕方ないが、展開が強引になるのはどうなのだろう。
image:ウワガキ4巻
ここまでちょっとダメなポイントをあげてきたが、いい点というのは数多く存在することを忘れてはならない。そのために私はここまで読んできたのだから。まず物語は恋愛とSFを交えて進ませるというのは好きなテーマで、一人の人物を二人にして三角関係を作るというのは斬新で展開がとても気になった。ヒロインもかわいいし、主人公はイラッとこないのも読む上で大事なポイントなので、終わり方にみんな納得できるのではないだろうか。まだこの子たちの物語を見ていたいなという気分は長編ではないためにしてこないものの、いつか読み返して思わず頬が緩んでしまうなという感覚は確かにつかんでいるので、本棚に保管しておきたいと思う。
それでは次の漫画レビューまでよいSFラブバトルがあなたにありますように。