まだどんなゲームか知らないという方は,先ず公式ホームページを参考にしてみてはいかがでしょうか。
簡単にお話しすると,感染症が突如としてアメリカに広まり,感染が確認された区域は住民ごと隔離され軍の管理下に置かれています。脱走しようとしたり反抗したりするものは,隔離区域外への感染拡大を防ぐ目的で射殺されるぐらい,感染症は恐ろしいものとして認められています。それもそのはず,人間が感染すると,正気を失いゾンビのようになってしまうからです。症状が悪化するにつれて,クリッカー,ブローターといった名称が付けられるほど明確に見た目の変化があります。感染した人間は肌が硬質化していき,隆起していきます。その過程で顔面が覆われ,視界が確保できなくなるとクリッカーと呼ばれる状態になります。クリッカーは眼が見えませんが,独特なクリック音を発しながらあらゆる物音を発見し,獲物に機敏に襲いかかります。さらに感染が進むとブローターと呼ばれ,全身に隆起した皮膚を持ち銃弾をものともせず襲いかかる強敵と化します。感染の最終段階は,そのまま皮膚が隆起していって他のものと一体化し始め,さながら植物のように「生えている」状態になります。こうなると全く動けなくなりますが,感染性のある胞子を噴出しているため吸い込むと感染します。こうした荒廃した世界の中で,主人公ジョエルがどうにか生き抜くゲームです。
1.没入感
ゲーム開始時の画面の柔らかな雰囲気が,据え置きゲームならではの落ち着きを与えてくれるのが,まずGoodですね。期待感も抜群です。「これからどうやってゲームの内容につながるんだろう」というワクワクが、当時の自分のプレイメモに残っているぐらいです。オプション項目はオーディオが充実しているのも好印象を持てます。映画のようなゲームなので,5.1chサラウンドシステムで体感できるのは素晴らしいですね。
ゲームのレビューをする際にいつも思うのですが,ゲームっていうのは世界観が大事なんですね。だから,妥協をして「なにかここおかしいぞ」とプレイヤーに思わせてしまうと,その瞬間にちゃちなゲームになる。そうなると,説得力のあるゲームデザインというのがとても大切なわけです。『The Last of Us』はほとんどその気がしなかったのも「映画っぽい」理由なんでしょうね。
そうした妥協を許さないデザインのために,最初に女の子を操作させることで感情移入のきっかけを呼び込むのはとても素晴らしい発想だと思いますね。物語に入り込むきっかけのあのイベントの前に,叔父さんが運転する車の中で視点移動をする時も,息をのむような操作感覚があるのも非常に感嘆しました。「こどもなら,そうするよね」という説得力がありました。
1.a 地図がない!
正しく言えば地図はあるんですが,それはそこらに落ちている収集アイテムで,実用性はないんですよね。警備の警戒順路が地図に書いてあっても,そもそもそれを見て警備をステルスで突破する場面はこないわけです。実用的な地図というのは,目的地のわかる地図です。このゲームはアスレチックとアスレチックを一本の道路でつないでいるので迷いようがないので問題ではないんですが,そこに説得力を持たせるためにしていることが評価できます。それは,建物の屋上に上ったり,視界の開けた場所にいったりするときに,全員で目的地をさして確認することですね。
ランドマークという考え方があります。脳内地図において,その人がマッピング(地図作り)をする際に目印にしているもののことです。あの確認作業は,マッピングの際のランドマークの更新なんでしょうね。
1.b 弾がある!
弾は結構あるので不自由しないです。難易度があがればその限りではないのですが,それにしてもクリッカーが火炎瓶落とすのは没入感においてマイナス点かな。ストレスのないゲーム体験としてはアリです。
1.c 味がある!
キャラクターは皆とても分かりやすく,愉快で,独特のものがあり,表情も性格もしっかり記憶できます。道中であうことになるジョエルの弟が冒頭で出てきたのは忘れやすいだろうけど,二周目のお楽しみってことで○。特にエリー(道中でバディを組むことになる女の子)は出会いからなにから全部印象深いものになるでしょう。子どもが珍しいのもありますが,彼女の成長も物語の一部なのでそれが大きいですね。
2.ストーリー
終わり方は賛否両論ですね。ジョエルの成長の物語だとしたらあと一歩欲しかったっていう考え方もできるんですけど,もうジョエルはあそこまで振り返らない人間になってくれたんだなというだけでお腹いっぱいですね。こうして評価が分かれるのもいい点でしょう。
3.オンライン
マルチプレイはバグさえなければ最高です。私が遭遇したのはリセットバグで,今までの生存者とか関係なく1周目に戻されてからはモチベーションがなくプレイしていませんが,それまでは大分のめり込みました。「ステルス+戦闘」の静と動の一瞬の変化が見極められるかが楽しさを感じるための一つの要素だと思います。
ファイアフライとハンターに分かれて戦闘するっていうのも本編と重なっていいですね。
少し長くなったのでそんなところで。ストーリーにのめり込めるゲームが好きなら是非に。あっという場面もたくさん用意されていて飽きないですよ。