前回までのThis War of Mine
拠点を襲撃した者によって深手を負わされたブルーノは空腹も重なり動けなくなってしまう。そこに現れた初めてのまともな訪問客は、包帯をかなりの高レートで交換しようと迫る。条件を退け、自分たちの力で包帯を見つけたおかげで、チームは今日も明日を生き抜く力を得るのであった。昨晩は襲撃もなく、マルコは安全な拠点へ帰還してチーム全員が朝を迎えることとなった。
4日目はチームがひどく飢えていた。というのも、もう三日以上飲まず食わずの生活をしていることが原因だ。食料はある。初日の昼に食料を食べたものの、その後食料を手にいれるペースの短さに危機を感じたチームは食料を保存し、どうしてもというときに肉と野菜を消費することを決めたのだ。今がその時であるかもしれない。
ブルーノは意気消沈していた。昨日の襲撃はきっかけに過ぎず、このサバイバル生活での日々のストレスが彼を失望させていた。空腹もまた彼のストレスの一端を担っていた。
マルコはまだ希望を失っていなかった。彼はチームメンバーのことをしばしば考えており、自身も空腹であるにもかかわらずである。
まったく動く気のなくなったブルーノを除いて三日ぶりの食事をとっていると、彼らに第二の訪問客が現れた。二人組の少年たちだ。その子どもたちはハッキリと自分たちの母の具合と要求を伝える間、しっかりと大地に立ち続けていた。薬が欲しいのだ、彼らは。自分たちのなかにはひどい風邪をひいているものはいないため、確かに余らせていたのは事実である。マルコが答えに迷っているとブルーノが言った。渡してやってほしいと。
ブルーノは正しいことをしたとマルコに諭すように言うと起き上がり、自分で食事を作るためにキッチンへ向かった。全員の気持ちが明るくなるために必要なこのきっかけは、我々へのいわゆるプレゼントであったのかもしれない。
前を向くための気持ちが高まった彼らはそのままストーブを作り、穴の補修をし始めた。パヴレは若干風邪ぎみで、これから寒くなる前にストーブを作っておく必要があったからだ。拠点に空いた穴はしっかり補修しておかないと寒いし、なにより襲撃にあう可能性が高いはずだ。もっと木材を集めて補修をし続けないといけない。
その夜は新しい場所へ向かうことにした。木材とガラクタが圧倒的に足りないのだ。 砲撃を受けた学校がその場所だ。なにかあるときのためにバールのようなものを持って、マルコは夜の学校の探索に向かうのであった。
夜の学校の噂は聞いていた。授業中に砲撃があったかもしれないということを。マルコは幽霊を恐れることはなかったが、生きた人間を恐れていた。戦いになるかもしれないと。
夜の学校は予想に反してとても静かであった。音を立てているのは自分ばかりで、というのも土砂がとても積もっていたものを片付けるからだ。ショベルを持って来ればよかったとマルコは後悔していた。あまりにも土砂が積もっているので崩すのを諦めたマルコはいける範囲内での探索をつづけていると、物音を聞いた。人間の生活音だ。このサバイバル生活で初めて夜半に他の人間の気配を感じた。武器を持たずリュックいっぱいの荷物を抱えたマルコは安全のために、拠点に帰ることを決意して学校をあとにした。