This War of Mine 8日目

前回までのThis War of Mine

 戦争が起き国民全員がその日暮らしとなった日に出逢ったパヴレ、マルコ、ブルーノ。ノコギリを作った彼らは砲撃を受けた学校に向かい、鉄格子を切って進む。そこはかつてこの学校の子どもたちが隔離されていた場所であった。

 8日目の朝は快適とは言い難かった。砲撃を受けて崩壊した学校に残っていた子どもたちのその後を考えずにはいられなかっただけでなく、昨晩我々は武装集団に襲撃を受けたのだった。初めてものが強奪されてしまった。肉と水という、貴重なものが奪われたのだ。ブルーノも深手を負わされてしまったので、包帯による手当が急務だろう。忙しくしていれば、忘れられることもあることが彼らに与えられたわずかなものだった。

 度重なる苦労がブルーノの心身を痛めつけていた。夜番をしていた疲れと襲われた傷がその芽を育てていたのだ。彼はうつ病といって間違いなかった。自然と愚痴が彼の口からこぼれるようになったのも、それが引き起こした災難の一つである。

 彼らは全員が疲れていたので、ブルーノにささやかなプレゼントとして密造酒を飲むように促した。しばらくして彼はフラフラと立ち上がり、酩酊しているものの泣き言をこぼすことはなくなった。少しだけ、彼の中にある勇気を引き出せたようだった。
 そうしていると交易商人をやっているフランコが訪ねてきたので、チームはブルーノにその対処を任せた。チームの中で役に立っていることが実感できればいいのだけれど。

 交換は余っている包帯を出す代わりに多くの物資をもらうことで取引成立となった。包帯は貴重だが、ブルーノがそうしたいと思ったのなら任せることにした。チームとしてのまとまりがなにより重要なのだ。しかしブルーノを気遣ったために問題が起こってしまった。

 あまりにも深酒をした彼は、自分で自分の傷の手当てをすることすらできないほどになってしまったのだった。一旦ブルーノには寝てもらい、マルコとベッドを交換することにした。

 マルコがその夜忍び込んだのは、とある別荘だ。ノコギリを作れるあらたなパーツが見つかれば嬉しいのだが、果たしてうまくいくのだろうか。
 別荘に着いた時に彼は口にせずにはいられなかった。「拠点がまともでよかった」と。少し不穏な気配がこのころから予兆としてあったのかもしれない。

 別荘には人がいた。なにやらうろうろと探し回っている。若い男の声がしてマルコはそれとわかった。マルコは臆せず物色を開始した。まずは危険性のなさそうな地下から、奴の後ろをとって二階へ抜けようという計画だ。もちろん、人を傷つける気はない。

 予定通り彼の裏をこっそりと抜け二階の物色を続けていると、とある手記を見つけた。エミルという男性を介抱する女性の日記であるが、これはどうもこの館の人間のことらしい。つまりこの館にはもう一人いるのでは———女性の声がした。マルコはその声の方に振り向くと、女性と目があったことが分かった。気付かれたのだ。
 マルコは走って逃げようとするが、はじめに出会ったエミルと思しき男が階段を駆け上ってくるのが分かった。階段を降りようとしていたマルコは彼と出会い、切りつけられてしまう。一瞬の判断で二階のベランダに引き返したマルコは、土砂降りの地面に向かって飛び降りて逃げ出した。

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