前回までのThis War of Mine
戦争が起き国民全員がその日暮らしとなった日に出逢ったパヴレ、マルコ、ブルーノ。うつになったブルーノは酒によってなんとか平静を装うくらいに弱っていた。パヴレは風邪のなか夜番をし、チームを救うために今日も探索に出かけたのはマルコであった。しかしマルコは探索中に不審者として攻撃され、怪我を負ってしまう。今日は三人に何が起こるのであろうか。昨晩は手痛い傷を負ったマルコ以外はどうやら安全に過ごせたようだ。ただし寝ずの番をしていることには違いないため、パヴレとマルコはすぐに眠りについてしまった。ブルーノは起きてはみたが、どうにも昨日の深酒が残っており頭痛がひどく二日酔いになっていた。マルコが持って帰ってこれたのは、ありふれたガラクタ30ぽっちだったので、ブルーノに何かを作って欲しいと頼む必要がなかったのが幸いか。
眠りにつく前、 マルコは包帯を巻きながら考えていたことがある。この戦時下においては誰もが詩人になりうるほど自身と向き合うことが強制されるので、物思いに耽ることはよくある。誰もがこの生活が終わることを夢見ているのだ。
マルコが眠ってからしばらく経つと、玄関の戸を叩く音がした。ブルーノは立ち上がって玄関へ行くと、一人の見たことのない男が立っているのが分かった。男は自分がマリンという名であることを明かすと、こう言ってきた。「一緒にいてもいいかい」
マリンはどうやら機械の仕組みに詳しいことが分かった。材料を効率良く使えるので、材料を節約していくことができると自信をもっていた。彼のおかげでガラクタばかりを拾ってこなくても良くなりそうなので、食料と衣料品、嗜好品を持って帰ることのできる可能性が高まったということだ。
マリンは声をかけてくれたブルーノがつらそうにしているのにすぐに気がついた。ここにたどり着くまでに、何人か彼のようにぐったりした状態で地面に倒れているのを見たことがある。彼らもまた泥酔し、死人のように寝ていたのだった。マリンはチームになじめるよう、すぐに彼を癒そうと声をかけて励ました。役に立つことが信頼を生むはずだと彼は固く信じていた。
マリンに声をかけてもらい、なんとか立ち上がったブルーノは最後の肉を料理して空腹に備えることにした。今日の彼の最後の仕事だ。あとは眠ってていいとマリンは言ってくれた。パヴレもだいぶ空腹だったようだが、もう食べるものがない。
マリンはその間眠る場所を作っていた。彼はみんなの役に立とうと張り切っていたからだ。夜中にチームの一人は出かけ一人以上が夜番をするために日中に彼らを休ませなければならないことに加えて、病気や怪我が原因で寝込むチームメンバーがいる場合に備えてベッドの数を決めなければならない。
ベッドを作ったあとすぐにブルーノを寝かせたマリンは、今度は木材で最後の壁の穴を補修し始めた。これで安易な襲撃を完全に防ぐことができる。こうなってくる と今度は防御のための武器と防具も欲しくなってくるが、メタルワークショップを一回り良いものにしないと作ることができないであろうのでお預けだ。
夜はマリンが探索に出かけた。おかげでチームの他のメンバーは休息をとって体力を温存することができるものもいる。出かけた先はマリンに任せることにした。 彼ならきっとチームのために張り切って探索をしてきてくれているに違いない。チームは彼に今まで探索した場所の情報とまだ探索をしていない場所の情報を彼 に渡すと、拠点にとどまった。
マリンはある一軒家にきていた。ここにはある家族がこの戦時下でも生活を変えないよう努力しながら暮らしているらしい。あとはたまに盗賊が襲っていることしか情報がないが、マリンはここを探索場所として選んだのだった。
結論からすると、マリンがここを選んだのは間違いだったかもしれない。いるのは口うるさい老人と、目の見えない老婆だけで、残っているものも彼らがかき集めたものだらけであった。ここを探索するということは強盗と同義だった。
足の悪い老人を走って振り切りながら物色した中には手紙が見つかった。内容に関わらず、チームが飢えているために物色するよりほかない。今日はこのまま帰ろう。