夢をみていた|因幡はねるに託された本当の「夢」-因の者オフ会 第二陣 -大願成就- inサンリオピューロランド‬を終えて-

 屋内型テーマパーク、サンリオピューロランド。
 ここでは誰もが夢をみる。

 こんにちは。すべらき( @T0340T )です。
 今回は、去る11/10(日)に行われた有閑喫茶あにまーれ所属因幡はねるソロイベント因の者オフ会 第二陣 -大願成就- inサンリオピューロランド』についてのネタバレがありますお楽しみください

 VTuberとしてデビューする前に所属予定の企業に"夢"を聞かれて、「ポムポムプリンとコラボがしたいです」という回答をした彼女が、デビューから1年と5ヶ月でその夢を叶えることとなった今回のイベントが決まった時は、ファンにはたまらない瞬間だった。
 ポムポムプリンとのコラボグッズの販売だけでなく、サンリオピューロランド実地での出演イベントや、大好きなポムポムプリンと一緒の舞台に立ってパレード曲を歌って踊るといった内容が盛りだくさんだった今回の催しは、彼女の夢を叶えるに十分であったように思う。
 幼少期につらい思いをし、思春期から今に至るまで人間不信でありつづけた中でもふと心を支えてくれたポムポムプリンに対して最大限の謝辞を述べた手紙を読み上げる声の震えには、今までの人生の重みがすべて乗っかっているパワーがあった。
 それに続くいつも応援してくれるファンへの手紙は、なんと挨拶文以外はほぼすべてがアドリブ。彼女の思いの丈をぶつけた感謝の言葉には、決して飾らない真に入った気持ちそのものを、会場にいることで全身で浴びることができた。

 さて、VTuberというのは難しいもので、所謂「中の人」というものが基本的に存在する。
 先程挙げた因幡はねるの幼少期のエピソードは「因幡はねる」の幼少期のエピソードでもあるが、それは「中の人」のエピソードが原点である。
 「彼女の夢が叶った」と言ったその"彼女"とは、一体だれのことなんだろうか、"夢"を改めて言葉にするなら、それはどういったものなんだろうか。"大願成就"とはなんだったのだろうかということを、イベントが終わった今改めて考えたい。

 そのために、因幡はねるの歴史をかいつまんで追ってみよう。
 「VTuberの波に乗って一山当てたい」というある程度の気持ちからVTuberデビューを果たした彼女だが、デビューから決して順風満帆だったわけではなく、多くの困難が待ち受けていた。
 にじさんじSEEDSという大規模展開をしている競合他社にデビュー時期がぶつかって初動から伸び悩んでしまったり、同じ運営会社の別グループであるハニーストラップには後発デビューであるのにもかかわらず登録者数が逆転されてしまっていたり、運営の方向性が今の形になるまで右往左往していたり、現在ではグループのメンバーが40%引退していたりと、苦労話をあげたら枚挙に暇がないくらいだ。
 加えて、因幡はねるのチャンネル登録者数はバズによる変動がなく、地道にコツコツとやるしかなかった苦労人の印象はここからも分かるだろう。
 これだけのことがあれば、いつ因幡はねるとしての活動をやめてもいい言い訳はできたように思う。そのまま「彼女の夢」はその「中の人」に叶えてもらうこともできたかもしれない。
 グループの元メンバー宇森ひなこの引退に際し「もっとこうしていたら良かった」という思いを吐露する場面が引退配信で何度かあったが、今あげたようなその他苦しい場面でもきっと彼女はそうやって苦悩してきたんだろうなという想像は容易につく。
だが彼女はそうしなかった。なぜか。

 人生は選択の連続であるなんて言葉はひどく使い回されて手垢まみれになって久しいけれど、それでもある種の魅力のある言葉だ。それは物事の本質を突いた言葉だからだろう。
 VTuberになる選択をした彼女にはならない選択もあったのだし、その後もいくらでも辞めるタイミングはあったけれどその選択をしてこなかった。
 だからこそ、そうでなかった未来を夢みてしまうことはあるんじゃないだろうか。
彼女は因幡はねるとしてポムポムプリンとコラボする夢を叶えたが、あの舞台に「中の人」として立つことは考えなかったのだろうか。
 きっとあったと思う。ポムポムプリンとの思い出は当然、因幡はねるとしてデビューする以前からの積み重ねあってのことで、それは「中の人」の夢みた結果なのだから。
 だがそうはならなかった。彼女が「因幡はねる」にその夢を託すという選択をしたからだ。
 では、彼女はVTuberとしてデビューするにあたって「ポムポムプリンとコラボする」ことを夢みたが、それはずっと前からの夢だったのだろうか。
「今、お前がずっと前からの積み重ねだって言ったろ」と思う諸氏もいるかもしれないが、それは思い出の積み重ねの話で、コラボすることが夢そのもの、つまりやりたかったことであるかどうかとはまた別物なのだ。

 何が言いたいかと言うと、「ポムポムプリンとコラボする」ことで彼女が本当に達成したかったものを考えようということだ。
 例えばあなたの夢が「因幡はねると結婚する」だった場合、結婚することで起こる変化やそれまでの過程も「やりたいこと」「願い」の一部であると思う。結婚して親を安心させたいだとか、結婚して独身の男どもと区別されたいだとか、もっといえばモテない自分を克服したいだとか。そのために因幡はねると結婚するという夢を叶える。ただ形式的に結婚のテイを取るということではないはずだ。
 だから今回のイベントで因幡はねるはただ「プリンくんとコラボしたい」からしたのではなく、そのことで何か"夢"を叶えたのではないか? と思っている。

 ここで、今回のイベントでプリンくんに手紙を読んでお別れをした後のセリフを思い出してみよう。
夢みたいだった
プリンくんと会わせてくれたのもみんなのおかげ
今日はこんな、夢のような舞台に私を連れてきてくれてありがとう
やっと私は、自分の居場所と信じられる人を見つけた気がしました
ここだ。これだろう。これしかない。彼女の夢みたものは自分の居場所を作り、信じられる人を見つけること。
ポムポムプリンとコラボするという彼女自身から因幡はねるに託した夢を叶えて、自分のやりたいことをやれる自分がいていい居場所を作ること。それを応援してくれる信じられる人たちと共にいることが彼女が叶えた夢だったのではないだろうか。

思い出してみて欲しい。
彼女がVTuberとして一山当てたいのは、「祖母を楽にさせてあげたい」「将来は老人ホームを建ててリスナーと仲良く過ごしたい」からだ。
「大人に近づいても人が信じられない自分は一人で生きていかねばならない」と諦観していたから、老人ホームを建てたかったとも今回の手紙の中で語っていた。
これは、誰も信じることができず居場所がなかったひとりの女の子がみた夢。
その夢が叶ったことが、私は何より嬉しい。
ねるちゃんが見せてくれた夢のような一瞬一瞬をいつまでも覚えておきたい。

あなたが夢をみていたその瞬間を共に過ごすことができて良かった。
夢のような光景を見せてくれてありがとう。
これはただのファンの、ひとつの考えです。
次はどんな夢を見せてくれるのか、いつまでも楽しみに待ってます。

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