桃色の青い幻肢痛|または周防パトラによる蒼月エリの超克


こんにちは。すべらき( @T0340T )です。
毎週土曜日にYouTubeでラジオ配信をしているのですが、今回はその中で触れた「周防パトラが蒼月エリの引退をどう受け入れていくか」についてメタルギアシリーズに触れながら話をします。

お話の性質上、引退した人物やメタルギアシリーズのネタバレに深く踏み入ることになりますお楽しみください

現在は周防パトラがソロイベントPatLive - GALAXY LOVE - ずっとずっと大好き! -(以下PatLive)を終えた頃に書いています。


さて、PatLiveはいかがだったでしょうか。
彼女の伝説の新衣装である部屋着を使った茶番から、かわいくも美しいライブに変貌を遂げDJに移るシーンで、ある出来事が起こりました。
ハニーストラップを引退したメンバー、蒼月エリに対するメッセージのあとに『青い蝶』が流れるという演出には鳥肌が立ち涙さえこぼれてきました。

蒼月エリのハニーストラップ引退に際し、周防パトラは「エリがどこにいてもエリの耳に届くような活動をできるようになる」という内容の話をします。
今回のDJシーン冒頭でも、それを意識した言葉選びをしていました。

ニコニコ動画でのコメント欄も素晴らしい一体感で、蒼月エリの青い蝶についてのコメントがたくさん流れていました。

少し話は逸れますが、蒼月エリと大変仲の良かったハニーストラップのメンバー、堰代ミコのTwitterの固定ツイートは今でも蒼月エリとの歌ってみた動画のツイートが設定されています。
新しい歌も出していたり自身のソロイベントが控えていても尚変更をしていません。

これらのことから、私たちはまだ蒼月エリの幻影を追いかけ続けているといっても過言ではないでしょう。


さて、話を少し変えます。
周防パトラは現在メタルギアシリーズにどハマりしており、PatLive冒頭の茶番シーンや時を遡ってREALITYの体力テストにおいても作中の名台詞を引用するなどその影響は多大なるものがあります。
現在彼女はメタルギア、メタルギア2、メタルギアソリッド、同2、同3、同4、同PW、同V:GZときてシリーズ最新作『MGSV:TPP』をプレイしようとしていますが、そのうち『PW』に出てくる「パス」という女の子に注目してみましょう。

あまり周防パトラの配信を追っていない人向けにパスの簡単な説明をします。
パスは『PW』のヒロインで、モルフォ蝶をモチーフにしているキャラクターです。
彼女は拷問を受けているところを主人公に救われるのですが、『PW』のラストで実は敵のスパイ工作員であったことがわかります。
以降敵対し、主人公は最終的にパスを倒すことになるのですが、生死は不明。パスの身体は大海原に投げ出されてゲームストーリーは一旦終了します。
次作となる『MGSV:GZ』ではパスは生きていることがわかるものの、再び拷問を受けているところを主人公に救出されます。がしかし——
救えないんですね。腹部に埋め込まれた爆弾を取り除くも、臀部に埋め込まれた爆弾が爆発してしまう。一度救ったと思ったパスを今度は完全に失ってしまう。
周防パトラがプレイする最新作『MGSV:TPP』はそうした流れで始まります。
『MGSV:TPP』では、なんとその爆発事故を経てパスが生きていることがわかります。というのは嘘で、実際は死んでいます。主人公だけがパスが生きていると思い込んでいる演出が長いこと続きます。

なぜこんなにゲームの話をしているのかというと、それは「青い蝶がモチーフの女の子が亡くなる」というのがポイントだからです。

主人公は『MGSV:GZ』でパスを死から救い出せず、その苦悩から彼女を生きているものと思い込んで彼女の幻覚をひとり見続けてしまいます。
"TPP"とは、The Phantom Pain|幻肢痛のことです。失われたはずの部位が痛み出す。例えば戦争や事故で足を失ったはずなのに、その無い部分の足が痛むということが実際にあるそうです。
失ったはずのものがそこにまだあるかのように感じられてしまう。
『MGSV:TPP』のテーマの1つはその幻肢痛にあります。

これが周防パトラに重なる部分が多くあると思っています。
「青い蝶がモチーフの女の子」はもういないはずなのに、まるでいるかのように幻覚を見てしまう。彼女の幻覚を追い続けてしまう。
いないということを受け入れられず、まるで今もいるかのような錯覚を覚える表現を・立ち振る舞いを・言動をしてしまう。
これが幻肢痛でなくて何なのでしょうか。


パスを救うことができなかった苦悩から、幻肢痛を覚えて彼女の幻覚を見ていたことに主人公であるプレイヤーが気がつくとき、周防パトラの身に何が起こるでしょうか。

周防パトラがメタルギアシリーズをプレイしたのは全くの偶然だと思います。
ただ、青い蝶をモチーフとした女の子がいなくなったことを受け入れるというストーリーをテーマの1つとしているゲームにたどり着いたというのは、これは何か運命的なものを感じざるを得ません。

蒼月エリの幻影に縛られている私たちの中にも幻肢痛はあると思います。私たちも解決をしていかなければいけない。
だからこそ、周防パトラの『MGSV:TPP』配信を見て、彼女だけでなく私たちの中にも何かしらの変化が起こることを期待して見定めていけたら良いなと思います。

最後に、MGS4のラストシーンより引用です。
"まだ遣り残したことがある"
"見届けることだ"
"この先 時代がどう進むかを"

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