コンスピラシー・キューブへの誘い

 こんにちは、Magic : the gatheringの記事へようこそ。前回はコンスピラシーのカードを使って遊んだ記事を書いたが、今回はその中から出てきたカードでキューブを組んでみようというお誘いをかけるものだ。

 コンスピラシーとはマジック初のドラフトに注目したセットで、[策略]という新しいカード・タイプが出てきたセットだ。[策略]はゲーム開始時に能力が誘発するものがあり、またドラフト中に能力が誘発するクリーチャーが存在するなど、非常に機知に富むドラフトを楽しむことが出来る。
 キューブとは、MTG Wikiから引用すると
キューブドラフト/Cube Draftは、非公式フォーマットの1種ではあるが、プレイヤー選手権12にてプロツアーレベルで採用された半公式フォーマット。市販のブースターパックトーナメントパックを用いないで行われるリミテッドである。
まず、「キューブ」と呼ばれる適当に集められたカードの山を準備する。キューブの枚数は、8人でドラフトを行える360枚以上であることが望ましい。次に、このキューブから15枚1組の束を取り出し、この束を使ってドラフトを行う。
このような形式のドラフトである。キューブとコンスピラシーを組み合わせたら、きっと楽しいものになるとは考えられないだろうか?



私は計略に計略を重ねていた。

Halt Order | Art by Izz

 どうしたらプレイヤーはドラフトを楽しんでくれるだろうか。
 ブースター・ドラフトを用いた普段のリミテッドのマジックは、スイス・ドロー形式で行われ、勝利の暁には好きなレアを順位取りできる。その過程をイメージし、トレースし、勝つ想像を現実のものにするというのが楽しさの本流なのではないだろうか。
 その点において、キューブドラフトは一点の欠点があります。賞品がないという点がそれだ。しかし賞品の有無は楽しさを左右させるのではなく、勝つ過程の実現にこそ楽しさがあるといった通り。とするならば、勝つ過程をイメージさせやすいカードやシステム、デザインのあるキューブを組まねばならないのだ。

勝つための策略

Jace's Archivist | Art by James Ryman

 あなたの目の前に宝の山が眠っているとしたら、何からいただこう?

 これはほとんどのキューブドラフトにおいて、プレイヤーが直面する問題である。通常のブースター・パックを用いたドラフトでは、最初のピックはレアを取ることがほとんどである。というのも、それは盤面を一手で覆すことができるようなパワー・カードだからである。キューブドラフトにおいては、一つ目のパックから出るレアは15枚全てがそれであることが多いだろう。誰しもショーケースに飾られた高額なカードの中からえり好みする贅沢を味わいたいのだから、そのようにキューブを組む。しかしそれは「勝つイメージをする」こととイコールなのだろうか?
 私はそれは、ただ「勝つイメージをする」という要素を内包しているにとどまっていると思う。一手で盤面を覆すカードの集合は勝つイメージも容易いが、コモンでも勝てる最たる例が親和/Affinityではなかったろうか。プレミアムなカードばかりのキューブにおいても、大切なのは軸となるカードと、つなぎとなるカードを区別し必要なものを選択するということは、公式コラムでも語られている。

 プレイヤーには勝つための軸となる戦略を想起させるものと、そのつなぎを想起させるものが必要なのである。

シナジーへの意識



 ドラフトにおける勝利へのイメージは、環境の把握から始まる。新セットの発売前にはカード・ギャラリーの更新を待ちわび、色ごとの戦略を練る。有用なキーワード能力があればそれを用いたシナジーを考え、それがなければ色のシナジーを活かす。
 シナジーとは勝利を導くための図式であり、青写真だ。














君はこれを見てトキメキを覚えないだろうか?

 私はこのような体験をドラフトの際に体験して欲しいのだ。この二枚が見えた時に、《歯車式司書》があればなと思うに違いない。
 コンスピラシーのカード・プールを考えれば、このようなゲームを終わらせるための道具が簡単に見つかる。遊んだことがあれば、大量の+1/+1カウンターの乗ったクリーチャーが膠着した場を粉々にする瞬間を見たことがあるだろう。他にも例えばファッティは分かりやすいゲームを終わらせる手段だ。

ここまでの三つの段落で話してきたことは、いかにしてカード・プールを設定するかという話なのはもうお分かりいただけただろう。
  1. 勝つ過程をイメージしやすいカード、システムを利用すること。
  2. 勝つための軸となるものと、つなぎ目となるものを組み入れること。
  3. シナジーを意識してゲームエンドを作るようなカードを組み入れること。
強いカードも入れるがシナジーを意識するカードも数にいれる。そしてゲームエンドに結びつくファッティなどを少量いれるというのがここまでの原則だ。

 そこで私は各色のカラー・パイ、そしてなにより自分のカード資産との相談によって、プールの枚数を決めたのだ。枚数は以下のとおり。
【スペル】247枚
【土地】20枚
【白】35枚
【青】35枚
【黒】35枚
【赤】35枚
【緑】35枚
【茶】15枚
【金】33枚 {10*3(二色)+3*1(三色)}
【その他】4枚
【基本土地】100枚
【策略等ドラフト用カード】16枚
私の想定する環境は五人で行なうペンタドラフトであったのでこのような形になった。
16のドラフト用カードはコンスピラシーと同じく、パイルの中に必ず入るようになっている。五人がなるべくほとんどのカードを手にするように、しかし稀に手にしないことが二回目以降の楽しさに繋がるように、中途半端な枚数になっている。

 そうした数々の策略(そして、私が思ってもみなかった策略)を秘めたキューブのリストは次回の紹介記事で。

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