前回までのThis War of Mine
戦争が起き国民全員がその日暮らしとなった日に出逢ったパヴレ、マルコ、ブルーノと後に合流したマリン。チームがほぼ負傷しているため、医療品が不足していることを解決しようとするパヴレは探索を続けていた。パヴレが包帯を持って帰宅した時に受けた報告は、前日を超える凄惨さを持っていた。肉と野菜に加え、ブルーノのための良質なタバコまでも盗まれてしまったのだ。私たちだけでなく、国民が飢えていることの証左に違いなかったが、他人から奪う力を持て余している輩のことを心配する余裕が僕らにはない。
タバコが取り上げられ料理までも取り上げられそうになっているブルーノはいつにも増してイライラしていた。もうはっきり言ってこんな生活には我慢ならないのは全員そうなのだが、黙っていられるほど余裕はなかった。日中は軍が闊歩していて逃げられないのは戦争の始まったときからだが、それでもこの街を出ておくべきだったのかもしれない。
ブルーノはチームの面倒見役になっているマルコから声をかけてもらっていた。誰かが訪ねてきたので、マリンがそれに応対した。昨夜の探索の疲れを、パヴレは癒していた。チームが全員それぞれの役割を果たしていた。
訪ねてきたのはフランコだった。軍隊が練り歩いていて危険な日中を渡り歩いて行商している彼に、我々はいつも助けられている。今日はこの間もらった宝石を交換してもらおう。
しかし医療品とは交換ができなかったので、その夜パヴレは病院に赴いてなんとか医療品を探そうと決めたのだった。病院は数少ない医療品を求めてやってくる自分たちと同じような人間がいるかもしれない。パヴレは用心して忍び込んで行った。
隠れながら物品をあさっていると、死亡者リストが見つかった。一番被害を受けたのは小児病棟のようだ。生きていても、食料品の蓄えによって生きていくのが難しかったろう。まだ医療品を見つけることができなかった。
病院内を静かに探索していると、医者を見つけた。どうやら政府の特別な手配などなく脱出ができなかった模様だ。なにか取引をしてくれたらいいのだがと思って近づくと、彼の方から取引を持ちかけてきた。医療品が底をつきそうなのか、彼は医薬品を求めていた。生憎だが、こっちも医療品を欲している身だった。この体制を立て直すことができたら、ここにきて取引に応じてもいいかもしれない。
しばらく探索してわかったのが、ここには勤務していた人間がそのまま戦前の役割を継いでいて、彼ら以外はみな平等に患者であるということだ。兵士も銃を持たず呻き声をあげるだけの惨状になっている。看護師はどうやら私たちをも手当てしてくれるようだ。負傷者がここに探索をしにくればもしかしたら無料で看病してくれるかもしれない。
さらに探索を続けていると子供部屋を見つけた。ここで多くの子供がなくなったのだろう。野戦病棟と化しているこの場所でそのことを考えると、少しパヴレは悲しくなった。