This War of Mine 18日目

前回までのThis War of Mine

 戦争が起き国民全員がその日暮らしとなった日に出逢ったパヴレ、マルコ、ブルーノと後に合流したマリン。病院へ医療品を探しに行くと、負傷者の出すうめき声が院内をおおっていたのがわかった。ここには患者と看病をする者がいるだけだった。


  パヴレが病院で包帯を見つけられず、チームは一向に負傷者が回復することのない状況が続いていたが、今日もその問題を解決するための手立てが得られないこととなった。
 パヴレが帰宅しても、重傷を負っているチームメンバーは寝ているため誰も迎えてくれない日が何日も続いていた。ベッドの数がチームメンバーの数より少ないため、だれかに起きていてもらわないと夜の探索で疲れたパヴレが眠ることはできない。ついでにお腹が減っていたパヴレはブルーノを起こそうとした。彼はいつものように不承不承チームにごはんを作るために起き上がるかのように思えたが、彼の体は動こうとしなかった。彼の体は冷え切っていて、ストーブでなんとか人肌の温もりを保っていた彼の命の脈動がかんじられなくなってしまったのだ。

 パヴレはこの生活を始めてから初めてひどく悲しんだ。そして、どうすれば残りの負傷したメンバーが同じ道をあゆまずに済むかを考えてみると、生きるために他人からものを盗んできたマリンはあの時正しいことをしていたのではないかと思えたのだった。

 その話を聞いたマルコは重い体を上げてはっきりとその意見に賛同した。マルコは人からものを盗んででも生きたかった。いままでの多くの苦労を無駄にはしたくなかった。

 マリンもその意見には賛同し、生命を保つために必要な食料の確保をすることを宣言した。しかし、自分も昨日までのブルーノのように痛々しい傷が全身をつつんでいて、とても自分が食料をとりにいける状態でないことは明らかだった。昨日まで、傷ついていたとはいえ生きていた仲間がもういっさい言葉をしゃべらなくなるというのはひどくつらかった。

 メンバーでひとしきり今後についてはなしあった後、マルコはブルーノの代わりに料理をつくってみることにした。料理に打ちこんだところで彼をわすれることはできないが、一人の時間をつくって彼を偲ぶことは必要かに思えたからだ。

 結果からいうと、一人の時間は彼らを不幸にした。全員がうつ病を患い、それをみてくれる医者はじぶんたちのことだった。マルコはみんなに作りたての料理をふるまうついでに、お互いをはげましあってなんとか今日を生きようと懸命になった。

 その夜はマルコが市立病院にむかうことに決まった。昨日のパヴレの証言から、看護師の手当てを受けることで包帯を見つける代わりになるのではと考えたからだ。ブルーノをここに連れてくることができていれば、彼は助かったかもしれない。彼には生きていて欲しかった。


 マルコはサンドゥという医師に話しかけられた。パヴレが言っていた、例の医療品をほしがっている医者が彼のことなのだろう。彼は寄付を求めていたが、俺たちにはそんな余裕があるはずもなかった。取引以外では首をたてに振らないと告げると、彼はしぶしぶ承諾して机からあるものを出してくれた。そこには包帯はなかった。

 病院内をひきつづき探索していると、一人の兵士がはなしかけてきた。あのナースたちに勲章をやってあげてほしいと。ここに来られた人を分け隔てなく手当てする姿勢はたしかいすばらしいが、マルコの手に残る冷たいブルーノの肌が彼にことばを返すことを許さなかった。

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