カメラ、止まらなくて良かったですね。
話題の『カメラを止めるな!』を観に行きました。
多少ネタバレがあるので、注意してください。
4.7/5.0点で最高の映画です。
各評価項目の評点はfilmarks(https://filmarks.com/users/T0340T)の方でしているので、そちらを参照ください。
ホラー映画を撮っているやつらの話なんですが、これが面白い。
ポスターすら何も知らなくて観に行った私でも、『ONE CUT OF THE DEAD』撮影パート(以下、Aパート)は劇中劇だと気づけるポイントが多くて、とても繊細な造りをしているんだなと感動しました。
Aパートはつづく撮影前パート(以下、Bパート)と合わせて『ONE CUT OF THE DEAD』撮影裏パート(以下、Cパート)への伏線を張るのですが、あまりにも巧みな伏線の張り方に息を呑みました。
わかりやすい伏線はAパートの随所に見られる演者の違和感であったりカメラの使われ方であったり脚本ですよね、Bパートの写真もかなりわかりやすくAパートラストのクレーンカメラにつながります。
Aパートの「B級映画ならまぁこんなもんか」にも理由をつけていたり、Bパート冒頭の、「なんで監督はこんなに優しい表情のできる人なんだろう」という違和感にも答えがあるのがまた面白い。
しかも、ある程度想像つく展開がくるのが分かってても尚面白いのが素晴らしい。
ただそれだけなら答え合わせ映画として「ほうほう」だったんですけど、これは最高のコメディなので、さらに意表をつくのが本当に上手でした。
人間の笑いは思ってもみないことに対して起こる反応です。
Cパートラストの組体操でようやくわかったんですが、これは「ゾンビ映画を撮ったやつ"ら"」の話なんですね。お恥ずかしい。これはスタッフだけでなく、制服組も含めた全員で成り立っているお話なんです。そうした全体を俯瞰して感じる素晴らしさが、イケメンプロデューサーに意見を言う監督の「(見てる人は細かいとこ)わかるでしょうが!!!」なんですね。
伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』のような群像劇が私はすごく大好きで、おそらく全て映像化すると四時間くらいになるのではないかな。
そうした各個人の背景にグッと焦点を当てて人間の劇を作る作品に、『カメラを止めるな!』の監督も非常に影響を受けていることがインタビューから伺えます。
映画『カメラを止めるな!』上田監督が映画ファンに答えた “影響を受けた作品と笑い”【独占取材】 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/2162
おそらく監督はやろうと思えば全てのスタッフの背景をこれでもかとカメラに込められたんでしょうが、作品はそうではなかった。
しかしそうした背景描写をトリミングして脚本に含めるバランスが絶妙で巧みで、不足しているようにはあまり感じられませんでした。
Bパートで監督がひとりで泣いてしまうシーンの挿入なんて最たるもので、素晴らしいカット割と構成、ライティングだと思います。偉そうな言葉選びで申し訳ないですが、私はこのシーンがすごくすごくお気に入りなんです。
そうした人間の各個人の輝きがいくつも重なって、そこに群像としてのAパートCパートの輝きが出てくるというのがこの作品を珠玉の作品足らしめている要因なのかなと思います。
皆さんのお気に入りのシーン、よかったらTwitterで教えてください。
精神が燃え盛った時にまた更新します。
それでは。