『2012年、世の中が変わるときに読む263冊』
そう題されたこの雑誌がとりあげたのは、変化を恐れずに楽しむには、それなりの知識が必要なので、先人に本という形で学んでいこうということだ。
大学教授やら作家やらニュースキャスター、寺の住職まで多くの人が”変化”を題材に本を使って対談をするわけだが、まずこれが面白いのが様々な人を呼んでいるという点であろう。
様々な人を呼ぶということは、当然「ん?」と思えるような意見陳述を始める人もいる。単に自分の考えとかけ離れた一派の人なのであろうが、そう思える実感が大切であると思う。
『他人にそれと言われて考え始めるのでは自分で考えたことにはならない』
『マスコミが信じられないならどれを信じたらいいのかというのは、自分で考えて決めていくこと』
ということからも分かるように、本書はそれ自身がメタ的な要素を含むことを明示してくれているとても優しい本だ。
特に本書前半でこれはと思い急いでメモを走らせたのが國分功一郎氏と古市憲寿氏の対談の「親密圏」と「公共圏」の「中間」を作っていく本。というテーマのところ。
この両者は全体では『若者は本当に不幸なのか?』というテーマで口上を開いていくのだが、ここでは「なぜ本で学んでいくのか」ということが書かれていたのが私に必要な情報だった。
本書は対談が様々に絡んで、まるで蜘蛛の巣のように”なにか”を形成しているので、そこが人によって得られるものに違いがあるのだろうが、かなり似たテーマを扱ったコミュニティに宿るのが、真の「新しい公共」の姿。というのもまた面白い。
年末年始に読みたい本の特集記事は、紙の種類も変えて感覚器に訴えてアピールしているところが興味をそそるが、そのまま読んで問題なく読後感に満足できる内容だ。
ジャンルに関しては個人的な好みもあるし、正直な話おすすめの本全ては読めないのが現実なので、そこは折り合わせを。
真ん中に雰囲気ある広告を挟んでも”変化”についての対談は人を変えてどんどん続いていく。こちらはより身近な面だ。いや実際には今身近だと思っている面で、前半のものも身近に感じて興味を持ってこれから変えていかなければいけないよ、という内容を読んだような(笑)
後半はほとんど広告のようなものなので、若干飛ばし読み。だが、対談が読めただけでもよかったと思える雑誌だった。たまには雑誌を使った勉強も悪くない。